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 inswatchは、保険代理店ならびに保険業界向けに特化した、業界唯一の有料メールマガジンです。毎週月曜発行のWeekly版と、月1回発行のPDFレポートをお届けしています。  インスウオッチの一番の魅力は多彩な執筆陣にあります。保険業界の様々な分野で活躍する専門家が勢揃いし、旬な情報をお届けします。そして保険ジャーナリストとして著名な中崎章夫・石井秀樹という両編集人による、現場にとことんこだわる内容が特徴です。

  • weekly inswatchは毎週月曜日に配信
     月曜発行のWeekly版は「メールマガジン」スタイルで、多彩な執筆陣による旬な情報記事をお届けします。代理店経営に役立つ情報が満載で、業界分析と展望・業界最新ニュース・マーケケティング・システム・事業承継・代理店経営手法のほか、半歩先を行く代理店の実況中継記事など、他にない独自の内容のものばかりです。今年(2015年)で15周年、780号を突破しました!
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     inswatch Professional Reportは、専門家によるテーマ別に突っ込んだ分析レポートを、図表等も織りまぜお届けします。マーケティング、セールス、人材調達・育成、経営戦略、リスクマネージメント、コンプライアンス、代理店情報化など、プロよるレポートです。

最新号目次  Vol.834 (2016-07-25)

【0】め・て・みみ
     =「人のネットワーク産業」再考=  【中崎 章夫】
【1】ビューポイント「石さんの保険業界、単眼、複眼」
     =住友生命、「健康増進型保険」開発へスタート=  【石井 秀樹】
【2】激動の時代に必要な保険代理店のマーケティング(75)
     =~ブランドづくりに必要な「感覚パッケージ」~=  【安東 邦彦】
【3】仕事のやり方で生産性は上がる(48)
     =47.顧客情報とIT=  【尾籠 裕之】
【4】保険代理店の態勢整備上の留意点(70)
     =【内部監査で見えてきた課題】経営計画・経営課題等の不備=  【吉田 桂公】
【5】最近の米国の保険流通動向
    =プロデューサーの仕事と将来=  【野田 節子】
【6】名案企画土`川の「月刊 一問一答!」(78)
     =個人情報保護の徹底対策は=  【土`川 尚己】
【7】つくる・かわる・ずっとつづける(110)
     =営業活動の基本形=  【葭谷 広行】
【8】日本一元気で明るい代理店を目指して(105)
     =ただいまプロセスを修行中=
  【宮地 幸江】
【9】最近話題となるリスクとリスク対策について(100)
     =「自然災害に対する国際的視点(5)」=
  【行木  隆】
【10】募集人のつぶやき(34)
     =~ステークホルダー 代理店~=  【富松  健】

★注目記事紹介★ 【inswatch】Vol.832 2016.07.11より

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【7】読書トライアスロン(10緊急寄稿)          田村  薫
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『FinTechの法律』増島雅和・堀天子 編著

◇かみ合わない会話
 Inswatchの読者の皆様であれば、FinTechという言葉を一度は耳にした事
があるでしょう。一方、FinTechについて正確な知識を持っておられる方も、
決して多いとは言えないのではないでしょうか。なぜならば、FinTechの話
題で人と話をしていても、かみ合わないことが多いのです。
 そんな現状もあり、今回は、先週横浜にて行われたRINGの会オープン
セミナーにおいて、パネリストとして登壇された増島雅和氏の編著による
『FinTechの法律』が上梓されたことを受け、急ぎ取り上げさせていただき
たいと思います。

 FinTechというのは、非常に大きな概念であり、明確な定義はないといい
ます。これを説明するのに、最もよく使われる言葉は「金融とIT技術の融
合」というものでしょう。しかし、この言葉は時として誤解を生みます。
 『FinTechの法律』では、金融機関と顧客のビジネス上の関係において、
IT技術を使って効率化や利便性を高めることがFinTechの本質ではない、
と言います。もちろん、スマートフォンやパソコンを通じて決済や申し込み
ができるといった利便性向上や、コスト削減も、FinTechの一部といえます
が、その全体を表すものではないようです。売り方が変わる、商品が変わる、
といった小さな分野ではなく、金融全体の仕組を組み替えてよりよい金融サ
ービスを提供する事こそがFinTechの描く未来像です。さらに言うなら、こ
れまで各金融機関が個別に作り上げた金融システムを、顧客ニーズや社会性
の観点から再構築するムーブメントそのものといえるかもしれません。

◇FinTechは金融ジャンルの垣根を溶かしてしまう
 もともと金融の世界は、信頼性の担保のため厳しい規制下に置かれていま
す。その流れから、銀行、証券、保険はそれぞれの分野別に発展し、縦割り
の構造を持っているといえます。一方で、これらの金融機関はそれぞれにイ
ンフラを持ち、販売網を持ち、商品開発やメンテナンスの機能を持っていま
す。こういった縦割りの機能を、横断的に担う可能性があるのがFinTech企
業であるという一面を持っています。(P24~に詳しい)
 簡単に言ってしまうと、これまでは金融機関の配下にIT技術があるとい
うイメージでしたが、IT技術が金融機関ごとの壁を取り払い、金融ジャン
ルの壁を取り払う。ややもすれば金融と非金融の壁さえも溶かしてしまう可
能性を持っている、という事が本書では語られています。
 この概念を私なりに例えると、フードコートやかつての屋台村に近いもの
ではないかと思います。一つの席に陣取れば、うどん、中華、どんぶりなど、
様々な専門店のメニューを注文できます。これをバーチャルの世界で、飲食
店を金融機関に変えてスマホの中でできてしまう流れといえるかもしれませ
ん。(この例えもまたFinTechの一面しか表現しえていませんが)

◇金融機関従事者にとっての本書
 さて、『FinTechの法律』に話を戻しましょう。
 まずQ&A方式で、FinTechの意味や、市場や金融業界に及ぼすインパク
ト、今すでに起こっている動き、金融に関する規制を乗り越える方法、具体
的なビジネスモデルの例などが解説されており、このトピックに半分以上の
紙面を割いています。この中に、FinTechの保険版InsurTechについても触れ
られています。
 そして、後半にはFinTechサービスにおいて、どのような機能を提供しよ
うとすると、どんな法律とぶつかる可能性があるかが書かれており、
FinTechの分野で起業を考える方や、金融機関担当者が、どういった法律を
参照すべきかが明示されています。第三章には金融サービスに絡む監督官庁
のFinTechに対する動きがまとめられています。
 ここまででわかる通り、本書は各々の法律を詳説することを目的とした本
ではなく実務の手引書として活用されることを想定されているようです。

◇保険業界へのインパクト
 私たち保険業界には、FinTechの保険版InsurTechによって何が起こるでし
ょうか。本書ではInsurTechのアイデアはまだまだ多くは出てきていないと
しつつも、販売の変化、商品の変化、保険金支払いの効率性を例示していま
す。
 販売については無料もしくは低価格の財産管理アプリなどを起点に、家庭
や企業におけるお金の流れ全体の最適化の一つとして、保険の見直しへ誘導
するモデルがすでにスタートしています。商品に関しては、言葉としてはお
なじみのテレマティクス保険といった新たな視点の細分化商品の開発などが
挙げられています。
 これらは、あくまで既存の保険事業のモデルの延長線上といえそうですが、
気になる話題もあります。例えば、すでに(産業用)ロボットの故障を事前
に察知し、警告を発するサービスがすでに始まっているといいます。「事故
が起こってから」を想定した保険とは違う観点で、経済的損失を防ぐスキー
ムといえるでしょう。これ以外にも、保険のような保険者の存在なく、互助
会のような仕組みをつくり、コミュニティ内で資金をプールし、事故があっ
たところにその資金を支払うようなビジネスも海外では出始めています。こ
れまでとは違い、ネットやスマホを駆使したネットワークにより、広い範囲
において資金調達・サービス提供が可能になりつつあるという事でしょう。

 他の金融サービスに比べ、保険に関するイノベーションが進まない理由を
私なりに考えてみると、銀行のような日常性もなく、証券のような楽しみも
少なく、購入に痛みを伴う(起こるか起こらないかわからないことにコスト
を投じる)ジャンルが保険である、という事が少なからずあるのではないか
と思います。
 保険のそのものよりむしろ、事故防止や保険以外の互助会などが白熱する
理由は、保険購入の痛みを避けたいという思いをお客様が持っている、とい
う前提に立っているのではないかと推察します。そのほうがお客様を集めや
すい、という現実もあるのでしょう。逆に言えば、新たな視点で保険市場を
大きく変えるチャンスはまだまだあるといえそうです。保険の常識を取り払
った形で感性を磨き、顧客を観察することが私たちにできる第一歩なのかも
しれません。

◇ここにあるのはすでに起こっていること
 本書には、様々なFinTechに絡むビジネスモデル構築のヒントがちりばめ
られています。その多くは最先端のFinTech企業に触れる機会の多い、著者
の既知の事実といえそうです。さらに言えば、著者陣の守秘義務の関係でま
だ公表できないアイデアも現実には動き始めている可能性も否めません。
 こういったイノベーションが起こる背景には、痒い所に手が届くサービス
であったり、社会的意義が評価され、これまでとは違った市場を創造するア
イデアがあります。本書P22にはこんな言葉があります。「新たな動きに
目を背けても得るものはない。」そして、P50では「FinTechのエコシス
テムを構成するプレイヤーはおおむね出そろいました。あとは実行あるのみ
です。」と読者を挑発します。

 私たちは、「保険とはこういうものだ」「保険代理店とはこうあるべきだ」
といった一定の概念を持っています。しかし、FinTech企業の多くはそんな
ことにとらわれず、「こうなればいいのに」「ああすればいいのに」という、
業界から見ると無謀なチャレンジを行います。
 唯一いえることは、顧客のニーズのないところでビジネスが成功すること
はありえません。彼らは顧客のニーズに純粋に対応する事を優先順位の第一
とし、必要に応じて関連法規への対応を行います。むしろ、自由度を担保す
るため金融関連法規に触れない範囲でのビジネスモデルを構築するといった
位置取りをされているケースもあるように思います。
 まだ不安定な部分はあるとはいえ、この金融革命の流れは代理店経営や保
険会社の在り方にも少なからず影響を及ぼすでしょう。
 例えば、代理店主というスタンスにおいては、ビジネスを既存の位置取り
のままで最適化を考えるのか、別の位置取りを考えるのかといったことを含
めて、固定観念に縛られない未来像をイメージすることが求められるのでは
ないか。そんな感想を持った一冊です。

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(増島雅和・堀天子 編著)
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                (サンクリエイト株式会社代表取締役)
http://www.suncreate.net
執筆者
(敬称略五十音順)

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